22 Nov 八楽株式会社、「LANGUAGE INTELLIGENCE 2024」でクリエイティブコンテンツにおけるヤラクゼンの活用事例を発表
LLM(大規模言語モデル)を活用した多言語翻訳でファンエンゲージメントを強化
八楽株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:坂西優、以下 八楽)は、11月19日(火)と20日(水)の2日間、オーストリアのウィーンで開催されたAI翻訳技術分野の国際的なカンファレンス「LANGUAGE INTELLIGENCE 2024」において、クリエイティブコンテンツにおけるLLM(大規模言語モデル)の活用事例を発表しました。
LLM(大規模言語モデル)を活用し、アーティストブログを7言語に翻訳
「LANGUAGE INTELLIGENCE 2024」では、全世界から各分野の専門家や企業の代表者が一堂に会し、AIを活用した翻訳や通訳、音声処理などの最新の技術開発について活発な情報交換が行われました。
八楽からは海外戦略部長 工藤博樹が登壇し、ヤラクゼンを活用したエンターテイメント分野における翻訳プロジェクトについて発表しました。このプロジェクトは、ワールドツアーを実施中のアーティストのブログや映像コンテンツを、LLM+ポストエディットの手法で3時間以内に7言語に翻訳したものです。
翻訳は、アーティストのスタイルやブログの文脈のニュアンスを保ちつつ、文化の違いやその国のファンが期待することを考慮することが鍵となります。一貫性と精度を保つために、特に固有名詞の翻訳に関するルールは厳守しなくてはなりません。
「ワールドツアー」の略語は当初ダンスの「Walts」も、翻訳ソフトの学習で「Waltsu」と翻訳されるように
クリエイティブなコンテンツへの対応は、従来のAI翻訳エンジンでは課題とされてきました。しかし、今回のプロジェクトでは、過去に翻訳者が訳したフレーズを予めChatGPT-4oに学習させた上で翻訳作業を実施し、その訳文をさらに翻訳者がポストエディットをすることで、より精度の高い翻訳結果が得られました。
例えば、「ワールドツアー」の略語である「ワルツ」は当初、曲調・ダンスを意味する「Waltz」と認識されていましたが、ポストエディットで修正を加えることにより、以後は速やかに本来の「ワールドツアー」の意味で翻訳されるようになりました。このプロセスにおいて、翻訳者によるポストエディットでの修正は、従来の翻訳エンジンなら修正率が約30〜70%のところ、今回は10%程度と、非常に低くなりました。
エンターテイメント業界における翻訳ニーズの高まりと今後の課題〜量とスピードが鍵
今回のプロジェクトでは、LLMを活用したブログの多言語翻訳によって、世界中のファンに向けてライブの熱量が下がらないうちにアーティストのコンテンツを発信することができ、共感が生まれ、グローバルな規模でファンエンゲージメントを構築することにつながりました。
アーティストの海外進出のためには、その個性を多言語で的確に表現することが求められることから、エンターテイメント業界はLLMを活用した翻訳ニーズが高い業界であると言えます。一方で、今回のプロジェクトでは1,500文字程度のテキストを扱うことができましたが、大量のテキストを迅速に翻訳する技術については課題が残ります。この課題については、技術の発展でいずれ解消されていくと八楽では考えています。
◾️LANGUAGE INTELLIGENCE 2024:https://www.lt-innovate.org/